【普通車の相続】自動車の所有者が死亡した場合の名義変更方法

2024年9月28日

この記事を読むとわかること

普通車の相続手続き方法や必要な書類

故人が所有していた自動車も相続財産ですので、相続する場合には名義変更手続きを行う必要があります。

自動車の相続手続き方法は、相続した後の利用方法(例えば、相続をして使用するなど)によって手続きが異なります。相続した後の利用方法別による手続きの記事もございますので、ぜひご参照ください。

こちらでは『普通車の相続による名義変更手続き(相続後も使用)』について、千葉市林行政書士事務所が解説いたします。

自動車の相続はいつまで?

相続は、自動車の所有者の死亡によって開始することになりますが、相続に期限はないのですぐに名義変更しなくても問題はありません。しかし、名義を変更しないままにしておくと、現在の所有者(亡くなった方)へ自動車税などの請求が届いてしまう場合があります。

なお、車検は名義が違っていても受けることができます。

自動車の相続をしない場合のデメリット

・自動車税などが亡くなった方の住所に届く
・任意保険に入れない可能性がある
・車の売却などが出来ない

自動車の相続を行う前に確認すること

車検証の所有者欄に故人の名前が記載されているか確認してください。自動車をローンなどで購入していた場合には、所有者が自動車販売会社名義やファイナンス会社名義で、使用者が故人となっている可能性があります。その場合、名義変更手続きを車検証記載の所有者(ローン会社など)と行うことになります。

所有者別手続き方法

▪️所有者が『故人』名義の場合
遺言書がない(遺言書に自動車相続の記載がない)場合には、遺産分割協議を行い手続きを行います。
▪️所有者が『自動車販売会社』名義の場合
自動車販売会社にご連絡していただき、ローンの残金があれば精算をしてから手続きを行います。
▪️所有者が『ファイナンス会社』名義の場合
ファイナンス会社にご連絡していただき、ローンの残金があれば精算をしてから手続きを行います。

相続の順位を確認し、相続人が誰になるのかを確かめます。

相続の順位

相続人は以下の順位で決まります。
例えば、父・母・子の家庭で、父親が亡くなった場合、妻と子供が相続人になり、父の親や兄弟姉妹は相続人にはなりません。また、遺言書がある場合には、そちらが優先されます。

第1順位・・・子(死亡の場合は代襲)
第2順位・・・父母(死亡の場合は祖父母)
第3順位・・・兄弟姉妹(死亡の場合は代襲)
なお、配偶者はいずれの時も相続人となります。

相続人の中の1人を自動車の所有者とする『単独相続』か、共同で自動車の所有者となる『共同相続』にするか決めます。

相続人に未成年がいる場合には親権者が代理行為を行う必要があります。なお、親権者が利益相反関係になる場合には、家庭裁判所に申立請求が必要です。

普通車の相続手続きに必要な書類

相続による名義変更に必要な書類は、単独で相続をするか、共同で相続をするかによって異なります。

単独で相続する場合

▪️遺産分割協議書を使って手続きを行う場合に必要な書類

必要書類説明
申請書など▪️OCR第1号様式
車検証▪️有効期間内の原本
▪️車検切れの場合には名義変更の前に車検を通す必要がある
印鑑証明書▪️『新所有者』の印鑑証明書
▪️有効期限は発行日より3ヶ月以内(例)12月1日発行→3月1日まで有効
戸籍謄本▪️被相続人の死亡の事実および相続人全員との関係が確認できるもの
▪️戸籍謄本の取得方法については「自動車相続と戸籍謄本」を参照
▪️法定相続情報でも可
実印または委任状▪️『新所有者』の実印を押した委任状
▪️委任状は代理の方が手続きする場合に必要【記載例】【委任状
遺産分割協議書または遺産分割協議成立申立書 ▪️相続人全員(新所有者となる相続人を含む)の実印を押印した遺産分割協議書
▪️相続人の中に未成年者がいる場合は代わって「特別代理人」の押印が必要
▪️相続する自動車の価格が100万円以下の場合には、相続人全員の署名押印(実印)が必要となる遺産分割協議書に変えて、新所有者となる相続人の署名押印(実印)で作成する産分割協議成立申立書と自動車の価格が100万円以下であるということを証明する査定書の添付でも可能【遺産分割協議書】【遺産分割協議成立申立書
▪️相続人が1人(単独)の場合には不要
▪️相続放棄をした相続人がいる場合には相続放棄申述書
車庫証明書▪️『新所有者』の車庫証明書
▪️おおむね1ヶ月(40日以内)有効
▪️現在の車検証の使用の本拠の位置に新たに所有者となる方の住民票があり、保管場所に変更が無ければ車庫証明は不要
▪️別に使用者がいる場合には、使用者の車庫証明書が必要

【相続による名義変更(遺産分割協議書あり)】代行をご依頼される場合には、車検証(原本)・戸籍謄本(相続人・被相続人)・印鑑証明書(新所有者)・委任状(新所有者)・車庫証明(新所有者)・遺産分割協議書をご送付ください。

▪️遺産分割協議書を使わずに手続きを行う場合に必要な書類

必要書類説明
申請書など▪️OCR第1号様式
車検証▪️有効期間内の原本
▪️車検切れの場合には名義変更の前に車検を通す必要がある
印鑑証明書▪️『相続人全員』の印鑑証明書
▪️有効期限は発行日より3ヶ月以内(例)12月1日発行→3月1日まで有効
戸籍謄本▪️被相続人の死亡の事実および相続人全員との関係が確認できるもの
▪️戸籍謄本の取得方法については「自動車相続と戸籍謄本」を参照
実印または委任状▪️『相続人全員』の実印を押した委任状
▪️委任状は代理の方が手続きする場合に必要【記載例】【委任状
譲渡証明書▪️『新所有者以外の相続人』の実印を押した譲渡証明書
車庫証明書▪️『新所有者』の車庫証明書
▪️おおむね1ヶ月(40日以内)有効
▪️現在の車検証の使用の本拠の位置に新たに所有者となる方の住民票があり、保管場所に変更が無ければ車庫証明は不要
▪️別に使用者がいる場合には、使用者の車庫証明書が必要

【相続による名義変更(遺産分割協議書なし)】代行をご依頼される場合には、車検証(原本)・戸籍謄本(相続人・被相続人)・印鑑証明書(相続人全員)・委任状(相続人全員)・譲渡証明書(新所有者以外の相続人)・車庫証明(新所有者)をご送付ください。

共同で相続する場合

必要書類説明
申請書など▪️OCR第1号様式
車検証▪️車検有効期間内の原本
印鑑証明書▪️『相続人全員』の印鑑証明書
▪️有効期限は発行日より3ヶ月以内(例)12月1日発行→3月1日まで有効
▪️相続人に印鑑証明書の交付を受けられない未成年者が含まれる場合には、住民票及び親権者の印鑑証明書
戸籍謄本▪️被相続人の死亡の事実および相続人全員との関係が確認できるもの
▪️戸籍謄本の取得方法については「自動車相続と戸籍謄本」を参照
実印または委任状▪️『相続人全員』の実印を押した委任状
▪️委任状は代理の方が手続きする場合に必要【記載例】【委任状

所有者と使用者が異なる場合

上記の新所有者と新使用者が同じ場合の必要書類に加えて下記の書類が必要です。また、共同で相続する場合には新使用者を決める必要があります。

☑️ 住民票または印鑑証明書 (新使用者が用意)
☑️ 委任状 (新所有者または相続人全員と新使用者が用意)
☑️ 車庫証明 (新使用者が用意)

【相続による名義変更(新所有者≠新使用者)】代行をご依頼される場合には、車検証(原本)・戸籍謄本(相続人と被相続人)・印鑑証明書(新所有者)・委任状(新所有者と新使用者)・住民票(新使用者)・車庫証明(新使用者)・遺産分割協議書をご送付ください。

遺産分割協議書について

その他の財産分割について協議をした書類の内容に、相続人(新しい所有者)が自動車を相続することが記載されていれば、その遺産分割協議書を利用して手続きができます。※申請時に原本の提示が必要になります

普通車の相続手続き方法

1,遺産分割協議書の作成
相続人が複数いる場合、自動車を特定の相続人が相続することを他の相続人に了承してもらう(遺産分割協議書の作成をする)必要があります。遺言書がある場合には、その遺言書を添付することで手続きが可能です。

2,必要車類の準備
相続される方の必要書類(車庫証明など)を揃えます。

3,運輸支局にて手続き
必要書類が集まったら、使用の本拠の位置(通常は住所)を管轄する運輸支局で登録を行います。新所有者と新使用者が同じ場合は、『新所有者』になる方の管轄運輸支局。新所有者と新使用者が異なる場合は、『新使用者』になる方の管轄運輸支局で手続きを行います。
※千葉県の管轄は千葉県運輸支局一覧をご覧ください

4,ナンバープレートの交換
管轄やナンバーの変更がある場合には、自動車を持ち込むか行政書士による出張封印を行う必要があります。

▪️費用

登録手数料(印紙代)500円
車庫証明(証紙代)2, 750円
ナンバープレート代(希望なし)1,490円
ナンバープレート代(希望あり)4,240円
※相続の場合、環境性能割はかかりません

自動車の相続は、相続人などによって複雑な手続きになってしまう場合がございます。当事務所では戸籍謄本の取得まで行っておりますので、自動車手続き代行をご希望の際は、林行政書士事務所までお気軽にお問い合わせください。

普通車,相続,名義変更

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