外国籍の方の自動車相続手続き

2024年2月20日

自動車の相続手続きで、亡くなった方(所有者)が外国籍の場合や、相続人の中に外国籍の方がいる場合には、印鑑証明書や戸籍謄本などが用意できないことが多く、手続きの難易度が上がります。

こちらでは『外国籍の方がいる自動車相続手続き』について、千葉市林行政書士事務所が解説いたします。

日本と外国のどちらの法律が適用?

日本で外国籍の方が亡くなった場合や、外国籍の方が相続人となった場合、日本と外国のどちらの法律が適用されるのでしょうか。

法の適用に関する通則法では、「相続は被相続人の本国法による」というルールがあり、亡くなった方が外国籍の場合は、亡くなった方の国籍の法律(本国法)が適用されます。つまり、日本人が被相続人の場合は、日本の法律が適用され、外国籍の方が被相続人の場合は、外国の法律が適用されます。

外国の法律に従う場合でも、『反致(日本の国際私法で一旦外国の法律を準拠法と定めたのち、外国の法律で日本の法律が準拠法となる)』により日本の法律を適用する場合もあるので、事前に調査をし、どのように相続手続きを進めていくかを検討する必要があります。

外国人の自動車相続に必要な書類

日本人の自動車相続手続きに必要な書類をおさらい!

日本人の自動車相続手続きで、必要な書類を確認しておきます。

①車検証
②印鑑証明書(自動車を相続する相続人のもの)
③遺産分割協議書(相続人全員の実印を押したもの)
④委任状(自動車を相続する相続人の実印を押したもの)※代理手続きの場合
⑤戸籍謄本(被相続人と相続人全員の関係がわかるもの)
⑥車庫証明(自動車を相続する相続人のもの)
⑦ナンバープレート※管轄が代わる場合

外国籍の方の場合『印鑑証明書・遺産分割協議書・委任状・戸籍謄本』を用意するのが難しいかと思います。

在留資格をお持ちの方であれば、印鑑登録が可能ですので、実印を押す必要がある『印鑑証明書・遺産分割協議書・委任状』は用意できます。

用意できない書類がある場合には、代わりとなる書類を用意する!

日本のような『戸籍謄本』がある国は台湾のみだそうですので、ほとんどの国籍の場合は、戸籍謄本の代わりとなる書類を用意する必要があります。

その他、印鑑証明書が用意できない場合にも代わりとなる書類を用意して対応します。

印鑑証明書(実印)が用意できない場合

印鑑証明書(実印)が用意できない場合には、『サイン(母印)証明書』を用意します。

※サイン証明書についてはこちらをご参照ください。

戸籍謄本が用意できない場合

戸籍謄本が用意できない場合には、大使館や公証人などに相続関係を証明してもらいます。例えば、アメリカの場合だと『宣誓供述書』が該当します。

※宣誓供述書には、被相続人の死亡や相続人、相続財産などについて記載します。

実際の手続き事例

過去に取り扱った手続きについてご説明いたします。

被相続人:父/アメリカ国籍(在留資格あり)
相続人:子A/アメリカ国籍(在留資格あり)
相続人:子B/アメリカ国籍(在留資格あり)

※実際に自動車を相続する人は子A
①車検証
②印鑑証明書(子Aのもの)
③遺産分割協議書(子Aと子Bの実印を押したもの)
④委任状(子Aの実印を押したもの)
⑤宣誓供述書(原本とコピー)※原本は提示し、コピーを提出
⑥宣誓供述書の和訳
⑦住民票の除票(父のもの)※原本は提示し、コピーを提出
⑧車庫証明(子Aのもの)


ご覧いただきありがとうございました。自動車手続き代行をご希望の際は、林行政書士事務所までお気軽にお問い合わせください。

相続,名義変更,外国人

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